菱刺し

昨日はやわい屋さんへ行って来ました。

「菱刺しの世界。」のオープニングイベントでした。

半年程前、絢工房の桂子ちゃんと知り合い、「菱刺しをやっているの」と聞いて・・・。

菱刺しって初めて聞きました。青森の南部の刺し子で、津軽のこぎん刺しは有名だけど、南部ではまた違った菱刺しっていう刺し子があったのよ、と。

その時は違いもわからないし、ピンと来ず、「ふ〜ん。刺し子をされてるのね。見てみたいな。」という軽い気持ちでした。

夫が小学校の途中まで八戸で過ごしてた、と言った時の彼女の食いつきが熱く、東北好き、民芸好きを垣間見たんだけど、まだ私は彼女のディープな面に気付いてはいませんでした。



そして、昨日の個展で。

びっくりした。いやはや、なんていう美しさなのよ!!なんていう仕事量なのよ!

これ、刺繍っていうより、織物みたいな。下地の布か、刺繍か、どっちなのかわかんない程密に刺している作品もあり・・・・。

刺し子の概念超えてるし・・・。

すごすぎて、うまく言葉にならない・・・。


そして、トークショーが行われました。

私の無知さ、歴史への敬意の無さによる疑問がいっぱい沸き上がり、自身に色々な気持ちが食い込んで来るお話会でした。面白かったです。

本で紹介されている南部のたっつけ(野良着ずぼん)の写真に目が釘付け。で、目を疑う。こんな素晴らしく美しく刺し込まれた野良着で泥だらけになっちゃうの?これ晴れ着に刺すんじゃなくて、野良着に刺すの?

麻を育て、収穫し、糸にして、布を織り、そこに刺していく。

刺し子は布を暖かく、丈夫にする為。単なる装飾性ではなく、私達現代の生活からは想像もできない程の過酷な生活があったのだと。でも、そんな過酷な生活の中からこんなにも美しい手仕事が生まれている、ってことをお話会で知り、衝撃。

作る生活に近づきたいと思ってきた自分が浅はか過ぎて頭が混乱する。

そして、「昔」と思っている別世界は、たかが数代前の世界で、私のおじいちゃんのおじいちゃんくらいの明治時代まで残っていた生活なのだと。

先祖から流れて来ている自分って存在と明治、江戸時代が繋がっている感覚を私は人生で初めて感じました。


そんなこんな、衝撃的な「菱刺しの世界。」の後には南部地方の郷土料理をザ!民芸な器で頂きました。

長芋すいとん汁、さんごくめし、煮あえっこ、菊のクルミあえ、ニシンのぬた、卵味噌、きんかもち。

お料理を作ってくれたちかこさん、野菜を育てている野村農園さんともお話できて色々教えてもらいました。

すばらしい時間でした。

現代の恵まれた環境に感謝して、この環境の中で手を動かすことの意味、生活を作っていくことの大切さ、祈りや優しさから作られる美。

たくさんの力をもらいました。ありがとう。



hutte A-miu

お菓子屋A-miu日々のこと

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